Cani の投稿一覧 (6件)
台本に『時は戦国乱世。今、戦地で2人の武将が決闘を始める』なんて書いてあるけど、戦い抜いて更に決闘をしようとする武将が綺麗な白Tシャツでいい訳ない。俺は監督に衣装について相談するが、前衛的な表現だから大丈夫、とよく分からない返事で相手にしてもらえなかった。すぐに売れっ子俳優になれるよ、とスカウトされ、150万円払ってこの事務所に入った。やっと自主制作の映画の撮影が始まったが、公開日は未定らしい。
今日はなんだかついてない日だ。抹茶ラテは売り切れだったし、買ったカーテンは丈が足りなかった。ちぇっ。私は地面に転がっている石を眺める。よし、これを蹴ってみて空振りだったらもう家に帰って寝よう。深呼吸をして石を蹴る。つま先に石の感触。コロコロと勢いよく飛んでった石。やった!あたりだ。気分を切り替えて買い物でもするか。石の行方を目で追うと、その先には高級車が。見ていられなくなって走って帰った。
ヘッドホンをつけるっていうのは一応話しかけないでくださいっていう合図なんだけど。チャラチャラしてるナンパ野郎に、私は無視を決め込むけどめげずに話しかけてくる。粘り強いな、なんてある意味感心してたら無意識に野菜コーナーで長芋握ってたし、ナンパ野郎の家で長芋をとろろにしてた。スーパーでナンパだなんてやばい奴に決まってるのに、とろろって作れるんだねとかいってるこの人がどうしてか可愛く思ってしまった。
ある日電源が切れたおもちゃのように動けなくなってしまって、そのまま退職した。なんとなく実家は居心地が悪くて、目的はないけど昼間のスーパーをぶらつく。私は急に悲しくなってスーパーを飛び出した。近くのベンチに座って空を見ると、相変わらず空は青くって更に悲しくなった。「これ、うまいで」急におばさんが私に差し出したのは魚肉ソーセージ。涙が出た。
おばさんはお節介なようにプログラミングされているようだ。
「僕じゃ君を幸せになんてできない、別れよう」
そう私に告げるのは大好きな彼。ここは初デートの思い出の場所、喫茶マッシュルーム 。
なによ、こんな所で言わなくたっていいじゃない。
珈琲にミルクをなるべく高い位置から入れてみる。カップの中で珈琲とミルクがダンスをしているみたいにくるくると混ざり合っていく様子は案外面白かった。ただの時間稼ぎなのにね。
あの、席を代わってくださる?第一幕が終わった途端、ご婦人に声をかけられた。前の人の髪飾りのせいで舞台が見えにくいみたい。
最近観劇にくる客のモラルが低下してるのよね、本人達は自覚してないのよ、なんて話すご婦人に愛想笑いをしつつ、席の交換についてはお断りした。
貴女不親切ね、と私を睨みつけているこの人は、なぜA席とB席を交換できると思ったんだろう。もうご婦人とは呼びません。ババアだ、ババア。