名無し の投稿一覧 (96件)

2022年11月13日 13時11分
お題: 動画・料理人・犬系
電話

工数2日の機能を午前中だけで実装してやった。これはサボるしか無いも思い、動画配信サブスクで『南国料理人』を観ることにしたが、冒頭5分で携帯がなった。「犬系の松原と申します」と男は言った。俺はイタズラ電話だと思い、私は猫系です、ニァオーンと絶叫し一方的に電話を切った。映画を観ながらテストコードを書いていると上司からスラックが来た。「今日中に株式会社NKの松原さんから電話行くと思うのでよろしく」

2022年11月13日 08時19分
お題: 動画・料理人・犬系
犬系料理人

youtubeを開いた。ホットドッグの写真がサムネイルに使われているにもかかわらず、「ホットドッグ作ります」という何の捻りもないタイトルの動画が目に入った。いや、もうできとるがな。それにもかかわらず私がそのサムネイルをクリックしたのは、投稿チャンネル名が「犬系料理人」という奇妙なチャンネル名だったからだ。犬系料理人とは犬のような料理人なのだろか。それとも犬系料理をする人なのだろうか。

2022年11月12日 21時21分
お題: 独学・講師・探偵
7限

大学で7限の講義を受けている。外はもう暗い。非常勤講師が、全ての近代小説は探偵小説を指向している、と言っている。なんのことだ。『今日は誰にも愛されたかった』という名前の、三人の詩人によって編まれた詩集を読んでいてまともに講義を聞いていなかった。そもそも僕はなんで大学で文学論を学んでいるのだろう。独学でプログラミングでも初めて、大学を辞めてしまおうか。僕は脳裏に彷徨う思考を追いやり、ページを繰った。

2022年08月30日 17時34分
お題: 無限・春・犬鷲
時間

「犬鷲に時間の概念はあるのかな」動物園でお昼ご飯を食べている時に彼女は言った。僕は適当に無いと答えた。「そうだとしら」彼女は続ける。「さっき見た犬鷲にとって今までの時間は全て並列に存在しているのかもね」無限に続きそうな春の陽気の中で僕は「昨日と今日が並列に存在するとしたらそれはどう言うことなんだろう?」と聞いた。「昨日死んだ人に会えるって言うことよ」詭弁のように聞こえたが悪くない考え方だった。

2022年08月30日 00時16分
お題:
幽霊

昔住んでいたアパートの裏が墓地だった。眠れない夜は見知らぬ家の墓に腰掛けてお酒を飲んだ。飲みきれなかった酎ハイなどは、プレゼントとしてお供えした。ある時幽霊が出た。幽霊はこう言った。「墓地に幽霊だなんてベタだなと思っているでしょう」私はあんまり酔っ払っていたので意識レベルが低下していた。その幽霊は、今まで会った誰とも似ていなかった。二日酔いで目覚めると、それはもはや夢か現か分からなくなっていた。

2022年08月21日 21時16分
お題: カーテン・抹茶・地面
夕刻

荷解きをしていたらいつのまにか眠ってしまっていた。網戸にしていたので、取り付けたばかりのカーテンは夕方の風を受けて気持ちよさそうにはためいている。酷く喉が渇いているのに、冷蔵庫には何もない。覚えのない抹茶味のチョコレートがあったので口に放り込んだが余計に喉が渇いた。ビールを買いにコンビニまで出かけようと家を出ると、枯れ葉を踏み締めるような音がした。地面には鳴けなくなったアブラゼミがいた。

2022年08月18日 22時48分
お題: マッシュルーム・ダンス・珈琲
その昔

その昔、大学のラウンジで珈琲を飲みながら村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』を読んでいると、女の子に話しかけられたことがある。上京したばかり、大学一回生だった当時の僕は、その瞬間雷に打たれたような気がした。その日から目に映る全てが美しく感じられた。木漏れ日や風のそよぎは奇跡のように感じられたし、スーパーに売っているマッシュルームさえも愛おしく感じられるほどだった。僕は彼女に愛されたかった。

2022年08月17日 11時15分
お題: 自覚・低下・観劇
気圧

タバコを喫むために布団から抜け出してベランダに出た。続く気圧の低下で今日も雨が降っている。煙を限界まで肺に溜めて大きく吐き出す。ニコチン中毒は自覚している。雨音を聞きながらもう一度煙を吸い込んだ時、私は、自分が虚構の中にいるような感覚、いや、自分が劇中の役者で、誰かに観劇されているような感覚に襲われた。タバコを灰皿に擦り付け頭を振ってみたがその感覚は消えなかった。私は観客を試してみることにした。

2022年08月16日 21時02分
お題: 姉・団体・五感
本日の一杯

姉の口からでた溜息は、空にぽっかりと浮かんだ月に飲み込まれていった。
もんじゃ焼きを営む我が家は、先程最後の団体を見送った所だ。やれもんじゃは音を聴けだの、五感を研ぎ澄まして焼くもんだだの、新入社員へのパワハラよろしくな上司たちが目障りだった。飲み放題、食べ放題で3980円。ああいう連中はきっちり元を取ろうとしてくるからタチが悪い。私達は店に戻り、今日もビールで乾杯するのでした。

2022年08月16日 11時58分
お題: 姉・団体・五感
変な洋服

「あなたの五感を解き放つ」という胡散臭い団体に姉が入会した。入会金だけでも80万円かかると聞いて僕は駅のスターバックスに姉を呼び出した。退会させるためだ。約束の時間になっても姉は来なかった。アイスコーヒーの水滴がテーブルを濡らしていた。僕はいつのまにかうたた寝してしまった。「おまたせ」姉はぶかぶかのスウェットパンツに、マーブル模様の画用紙のような素材のシャツを着ていた。僕はおかしくて少し笑った。