もふまる の投稿一覧 (34件)
一人の方が気楽で楽しい。所謂おひとりさま女子だ。女子っていう年齢じゃないけどね。週末には一人旅をするのが最近の趣味。こっちは1人で十分楽しんでいるのに、観光地には縁結び神社、夫婦杉、恋人の聖地。「肩身が狭いねぇ、、」ぼやきつつ辿り着いたのは井伊谷城跡。井伊直虎が女城主であったとされている城だ。「私は私の城を築けばいいのよ。ね、直虎さん」城門跡前の桜が春風に揺れ、背中を押されたようだった。
私の名前はマコ。古臭くもなく、今ドキ過ぎる訳でもなく、音は気に入っているのだが。漢字で書くと「万湖」。完全にま○こだ。こんな勘違いされる名前、両親は何も思わなかったのだろうか。思春期にはそれなりに恥ずかしい思いもしたが、大人になるとイジられることもなく、気にならなくなっていたのに。昨日、彼氏の栗股さんからプロポーズされたのだ。「栗股万湖」。下半身大集合だ。頭を抱え、両親を恨んだ。
中学講師を辞めたのは2年前。学級崩壊、存在を無視され続けていたら自然と鬱病になった。「ママお仕事しないの?」とふと娘が聞く。「ママは心をケガしちゃったからお休みしてるの。直してる途中なんだ」「大丈夫?痛い?かさぶたになってる?」娘は本当に心配そうに目に涙が浮かんでいる。こんなに純粋な娘も将来あの生徒達のようになるのだろうか。愛おしい気持ちよりも迫る不安感の方が大きかった。「かさぶた剥がれちゃった」
TikTokにハマっている。JKがダンスしたりマッシュルームカットの彼氏と彼女がイチャついたりしてる動画が流れるそれだ。もちろん自分は見る専門。決して邪な気持ちはない。そこには自分が経験できなかった青春が詰まっているのだ。今でいう陰キャだった自分の学生時代。好きな子とは会話もできず片思いは卒業と同時に終了した。ほろ苦い思い出を珈琲で誤魔化し、踊るJKを見る。もう一度言うが、決して邪な気持ちはない。
12/23。ついに前日になってしまった。「今年は初めてのオペラだ。えりも17歳になったことだし、少し難しいかもしれないけど解説してあげるからな」クリスマスイブには家族で観劇に行くのが幼い頃からの恒例。テンションが高いお父さんを前に私のテンションは低下していく一方だ。お父さんからの愛情を(重めの)自覚しているからこそ、言い出しづらい。「あのね、お父さん。実は今年のイブ、一緒に過ごしたい人がいるの」
ベンチに座り、行き交う人々の感情をイメージする。ビニール袋を持つ彼はきっと嫌なことがあったのだろう。友人と楽しそうに笑顔で話す女子高生も、本当の感情はそうではなかったりする。脳幹から生じた感情が全身の筋肉に作用して、他人へ伝わる、見える。そこに無限のエネルギーを感じるのだ。被写体から発せられる感情を、そのままフィルムに焼き付けたい。フォトグラファーとしてそんな写真が撮りたくて、僕は人間観察をする。
彼氏いない歴=年齢。親友が合コンを開いてくれた。お酒が苦手な私はジンジャエールに刺さるストローを咥え、すでに諦めモードだ。そう簡単に運命の人に逢えないよな、と目の前のチキンソテーをつまむ。「うまっ」皮がパリッとしてて、思わず漏れた声に、前の男性が微笑んでいるのがわかった。あれ?なんかキュンとした?「これ、美味しいよね」と確か料理人の彼が言う。私の恋の始まりはドキドキじゃなくてパリパリだったのね
ぱぱ、まま27年間大切に育ててくれてありがとう。実家にずらっと並ぶ写真アルバムの背表紙をみると、2人の深い愛情を感じます。反抗期にはお父さんと意見がぶつかって決闘したこともありましたね。優しくて思いやりのある自慢の両親に、沢山愛されて大きくなれたこと、私はどんな物語の登場人物より幸せです。これからはあきらさんと一緒に、2人のような素敵な家庭を築いていきます。見守っていてくれると嬉しいです。
「はるひぶ?」4年生になった息子が車のナンバーを見て聞いてきた。「春日部(かすかべ)って読むんだよ」「なんで?」「なんでだろうね、後でパパに聞いてみよっか」スーパーからの帰り道、ビニール袋は息子が率先して持ってくれた。「お腹空いたね」少し前を歩く息子が振り向きながら微笑む。夕陽に照らされたその姿はパパそっくりだ。〈茜さす日の暮れゆけばすべをなみ千たび嘆きて恋ひつつぞ居る〉
東京で働く弟が帰省してきた。「久しぶり寄生虫」32にもなって実家に居座る私に辛辣な弟。「第一声がそれ?酷っ」「ほらお土産」差し出された有名店のチョコにすぐ機嫌が直った。「パリに転勤が決まってさ」母と話す弟。小さい頃は私の方が優秀だったのにな。コツコツ努力ができた弟と気がつけばこんなに圧倒的な差だ。弟の前に広がる明るい将来に目を細めながら「パリ チョコ 有名店」と検索することしかできない私がいる