3つの言葉で小さな物語を作ろう

最新の作品

2022年11月15日 22時48分
お題: 存在・アニメ・かさぶた
痛みと快感

子供の頃にかさぶたを剥がす癖があった。固くなった肌が体から離れる瞬間のわずかな痛みともう二度と元に戻らない境界を超える快感の虜だった。そしてまだ外界に接する準備が出来てない白くぶよぶよした存在。自分でも知らない自分の存在が確かにそこにあること。それを確かめるためにかさぶたを剥がす。そういうアニメを作りたい。ストーリーで視聴者の思考のかさぶたを、視覚で映像経験のかさぶたを、思い切り剥がしてやりたい。

2022年11月13日 13時11分
お題: 動画・料理人・犬系
電話

工数2日の機能を午前中だけで実装してやった。これはサボるしか無いも思い、動画配信サブスクで『南国料理人』を観ることにしたが、冒頭5分で携帯がなった。「犬系の松原と申します」と男は言った。俺はイタズラ電話だと思い、私は猫系です、ニァオーンと絶叫し一方的に電話を切った。映画を観ながらテストコードを書いていると上司からスラックが来た。「今日中に株式会社NKの松原さんから電話行くと思うのでよろしく」

2022年11月13日 08時19分
お題: 動画・料理人・犬系
犬系料理人

youtubeを開いた。ホットドッグの写真がサムネイルに使われているにもかかわらず、「ホットドッグ作ります」という何の捻りもないタイトルの動画が目に入った。いや、もうできとるがな。それにもかかわらず私がそのサムネイルをクリックしたのは、投稿チャンネル名が「犬系料理人」という奇妙なチャンネル名だったからだ。犬系料理人とは犬のような料理人なのだろか。それとも犬系料理をする人なのだろうか。

2022年11月12日 21時21分
お題: 独学・講師・探偵
7限

大学で7限の講義を受けている。外はもう暗い。非常勤講師が、全ての近代小説は探偵小説を指向している、と言っている。なんのことだ。『今日は誰にも愛されたかった』という名前の、三人の詩人によって編まれた詩集を読んでいてまともに講義を聞いていなかった。そもそも僕はなんで大学で文学論を学んでいるのだろう。独学でプログラミングでも初めて、大学を辞めてしまおうか。僕は脳裏に彷徨う思考を追いやり、ページを繰った。

2022年10月18日 11時57分
お題: 城門・春・女
浜松旅行

一人の方が気楽で楽しい。所謂おひとりさま女子だ。女子っていう年齢じゃないけどね。週末には一人旅をするのが最近の趣味。こっちは1人で十分楽しんでいるのに、観光地には縁結び神社、夫婦杉、恋人の聖地。「肩身が狭いねぇ、、」ぼやきつつ辿り着いたのは井伊谷城跡。井伊直虎が女城主であったとされている城だ。「私は私の城を築けばいいのよ。ね、直虎さん」城門跡前の桜が春風に揺れ、背中を押されたようだった。